2006年4月19日

【Abs】 ウィックの女性長老、グラディスさん逝去

先住民族ニュース(59)

ウィック裁判の原告。歴史的なウィック判決(1996)をかちとった

グラディス・ティビグンパさん
(確定判決勝訴のとき、最高裁前広場で伝統的ステップをふんで踊った姿がニュース一面をかざった女性長老)
が亡くなりました。59歳。糖尿病による合併症状のためと報じられています。
http://www.abc.net.au/news/newsitems/200604/s1618636.htm

ご冥福をお祈りします。

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【参考】
弘文堂『世界民族事典』の「ウィック」の項目より、3分の1ほど抜粋

ウィック Wik
オーストラリア北東 (クインズランド州)、ヨーク岬半島中西部アラクーン周辺とキアウィーア岬周辺、およびアーチャー川流域一帯のパマ系アボリジニー集団の総称。約1,200人。*****(中略)***** 17世紀にキアウィーア岬に接岸したオランダ船と対峙、激しい戦闘のすえ上陸を阻止したことで知られる。20世紀初頭にはアラクーン宣教村に集住させられたが、他の地域の宣教村とちがい、ウィック語系の集団だけが収容されたため言語・文化がよく維持された。現在、村は教会の支配を離れた自治区となり、また各集団の領域に戻って小集落 (アウトステーション) を建設するホームランド運動も展開されている。80年代になると、領域南部のヨーロッパ人の牧場地を対象に土地権訴訟および先住権訴訟 (一部は南隣のターヨラと共同訴訟) をおこし、1996年には、牧場地も先住権請求の対象になりうるという画期的な新解釈を示した連邦最高裁判決 (通称「ウィック判決」) をひきだし、ウィックの名前は一躍、オーストラリア先住民運動のシンボルとなった。

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