2008年12月15日

【Indig】 カナダ2010冬季オリンピックに先住民族が抗議運動

先住民族ニュース(69)

IPS-Japanからの配信です。

「カナダ 2010年冬季オリンピックに先住民人権問題の暗雲」
http://www.ips-journal.com/php/news.php?pid=20081203002&vid=1&pla=JP


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2008年12月12日

【Indig】 ブラジル連邦最高裁、先住民族の土地権を確認

先住民族ニュース(68)

ブラジルでずっと懸案だったホライマ(=ロライマ)州の重要な土地権裁判の判決が、奇しくも世界人権の日(12/10)に出ました。先住民族側の勝利です。

http://www.survival-international.org/news/4021

とりいそぎ

2008年9月27日

【Abs】 西オーストラリア州、続報の続報

先住民族ニュース(67 )

昨日送信したニュース分析でふれたインペックス(帝石)の工場立地と先住民族土地権のからみについて、
本日のABCのニュース映像が下記でみられます。
http://www.abc.net.au/news/video/2008/09/27/2375964.htm

たぶん明日くらいまではアクセスできると思います。

内容は
・ダーウィンでのインペックス社(黒田直樹社長)の会見
・インペックスの工場建設を歓迎するNTのアボリジニーの踊り
 (NLCの動員でしょう。)
・インペックスに袖にされたWA新首相コリン・バーネットの会見
 (まだ呼び戻すチャンスはある、と負け惜しみ)
・インペックス誘致に期待していたキンバリーのアボリジニーのがっかりした様子
 (KLCの求心力はこれでかなり損なわれる...)
・海洋生態系への影響を懸念する原生自然協会のインタビュー
 (以前、ECNTのコーディネータをしていたPeter Robertsonが登場)

黒田氏は、ダーウィンを選んだ大きな要因のひとつとして「先住民土地権の処理の流れが確実なこと」を明言しました。KLCはほぞを噛んでいることでしょう。

以上、続報の続報として、お知らせしました。

【Abs】西豪州、続報です

先住民族ニュース(66 )

【要約】 WA州政権の交代で、ウラン開発解禁、先住民族政策全般で変化必至

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すでに報道がほぼ一段落しましたが、西オーストラリア州の選挙結果は(実は 今も開票が進んでいるので公式には確定していませんが)、
http://www.abc.net.au/elections/wa/2008/

労働党・自由党ともに過半数をとれず(28議席ずつ)、結局、連立工作のす え、自由党と国民党の保守連合が無所属議員と政策協定をむすんで政権をとり ました。首相は自由党のCollin Barnettです。副首相のKim Hames(自由党) が先住民族担当相を兼務。鉱山・石油相はNorman Moore (自由党)、教育、 雇用、観光などの分野で先住民族政策にかかわってきた人物です。

前首相 Alan Carpenter(労働党)は責任を取って党首を辞任し、前の財務相 Eric Ripper が新党首、Opposition Leaderとなりました。

緑の党は上院(保守連合16、労働党16)で4議席を確保し、casting voteを握 りました。

いつもの当てにならぬ細川予想では、労働党と国民党の連立で労働党が州政権 を維持する(これは、西オーストラリアの政治風土ではありえぬことではな い)と読んでいたのですが、みごとハズレ <(_ _)>

今回の政権交代により、アボリジニーにとって当面おおきく影響することは3つ。

・保守政権に戻ったことにより、ウラン開発が解禁されます。世界最大の鉱床 であり、三菱が権益をもつキンタイヤ鉱区(カラミリ国立公園、いわゆるルド ール・リバー)の開発が最大の焦点。
── 現地の Martu アボリジニーのあいだで賛否が割れているので、非常に 厄介なことになります。

・キンバリー沖合でのインペックス社(その正体は帝石、日本国内での社名は 「国際石油」)による天然ガス開発の流れが変わる。
── 労働党(前政権)とキンバリー土地評議会(KLC)とがまとめあげたブ ルーム北部での精製工場建設は立ち消えになり、おそらくNT(たぶんダーウィ ン近郊)での精製に計画変更になるでしょう。もともと東チモール沖合ガス田 の受け皿としてもダーウィンのほうが有力候補地ですので、KLCとNLCの綱引き はこれでほぼ決着か?
(細川にとってはKLCから変なお手伝いを要求されずにすみ、一安心ですが。)

・パース先住権訴訟(現在、控訴審、被告は連邦政府とWA州政府)で、これま で和解協議の余地のあった労働党政権のWA州政府が保守政権にかわったことに なり、見通しがやや曇る。(連邦政府は労働党政権なので、被告どうしの対立 もおこるでしょう。)

以上、とりいそぎ、ご報告まで。

2008年8月28日

【Abs】アボリジニがクック収集品の返還求める

【禁転載】

以下のメールは先住民族の10年市民連絡会の内部MLですので、転載・引用はご遠慮ください。

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Date: Wed, 27 Aug 2008 00:28:46 +0900
From: "Hosokawa K. via Nifty"
Subject: Re: FW: アボリジニがクック収集品の返還求める

小林さん、拝復、細川です。
お知らせありがとうございます。

At 9:19 PM 08.8.26, Kobayashi Junkoさん wrote:
>アボリジニがクック収集品の返還求める(8月22日)CNN
>
>アボリジニがブーメランの返還要請、キャプテン・クック収集品
>2008.08.22 Web posted at: 21:02 JST Updated - CNN/AP
>http://www.cnn.co.jp/business/CNN200808220029.html

●細川が見たニュースはAP電(ヘラトリ)、APP電(ジ・オーストラリア ン)、ブルームバーグです。
http://www.iht.com/articles/ap/2008/08/22/news/Australia-Boomerang.php
http://www.theaustralian.news.com.au/story/0,25197,24223604-2702,00.html
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601088&sid=ahrlnEqsLS7A&refer=muse

投資家が好んで情報源にするブルームバーグによると、予想落札価格は6万ポンド(以上?)とのこと。ざっと1220万円也。
本物かどうかは、これらのニュースからは判断できません。(ちょいとウソ臭い...)


>アボリジニの代表者は、ブーメランを取り戻せれば豪州の2文化の調和のシンボ
>ルともなり、若い世代の豪州国民にアボリジニ文化の偉大さを教えることにもな
>ると強調している。

●「代表者」とありますが、「??」です。(英語原文は leader)
APに登場する Merv Ryan というスポークマンは、ノーマークの人物で、背景 がよくわかりませんが、後述のモリスン議員の声明を読むと、自由党系の人脈 のように思われます。すくなくとも地元アボリジニーのあいだで大きな代表権 をもつ人物ではなさそうです。

APでは「Gweigal people」という集団名を挙げていますが、おそらくこれは Dharawal アボリジニーのなかの Gwiyagal 系のグループのことだろうと思わ れます。Gwiyagal はボタニー湾の南側のグループですので、キャプテンクッ クが最初にアボリジニーとコンタクトした地域の集団であることは確かです。 しかし、今日のシドニーのアボリジニーの政治学からすると、こういう場合、「代表者」として発言権があるのは Dharawal 全体のエルダー(またはそのスポークスマン)だろうと思われますし、メディアも当然そちらに裏取り取材をする筈 ですので、今回それらの情報がニュースに反映されていないので、信頼性としては、ちょっと「?」です。まぁ、もうしばらく様子を見ていれば、いろいろな声が挙ってくるだろうと思いますが。


>AP通信によると、豪州政府は競売参加を検討している。

●ニュースでは、ピーター・ギャレット(環境大臣と文化遺産大臣を兼任)が 落札の可能性について検討するよう文化遺産省に指示したとされています。


>シドニーを選挙区とする議員は英国に対しブーメランを贈り物として豪州に
>寄贈するよう促している。

●この議員は、クック選挙区のスコット・モリスン下院議員(自由党=野 党)。英国に働きかけたわけではなく、「ラッド首相が英国に働きかけるべき だ」「9月のオーストラリア議会でこの件を要請したい」と表明しただけで す。

モリスン議員の声明は彼の公式ウェブサイトに載ってます。
http://www.scottmorrison.com.au/info/pressrelease.aspx?id=67

現時点では、あまり十分な判断ができませんが、野党議員が先住民族をダシに して、政府につっこみを入れる材料にしようとしている(先住民族問題で大き なポイントを稼いだラッド政権に対して、野党としても先住民族の味方をする ことでポイントを稼ごうとしている?!)、といった程度に見ておく方がよい かも知れません。Dharawal の人たちがわざわざ自由党に肩入れするとは思わ れませんので。

以上、政治的背景とメディアリテラシーの観点からコメントしました。

アボリジニーの文化遺産を返還すべきだという、原則論はその通りなのです が、こういった話は政治的に脚色・利用されやすいので、注意深く見ておく必 要があります。これまで、遺産返還運動(※)を長く続けてきて大きな成果も挙げているグループ(タスマニア先住民族センターなど)が今のところこの件につい て沈黙しているので、しばし静観したいと思います。

※正確にいうと「遺骸や遺産の返還運動」で、これまでの主眼は欧州各地の博物館の「コレクション」になっているアボリジニーの遺骨や遺髪などを取り戻して故郷で埋葬儀礼をおこなう、というところにありました。

クリスティーズの競売は9月25日にロンドンで開かれます。
http://www.christies.com/presscenter/pdf/08202008/121442.pdf

2008年8月13日

【Abs】 豪州北部準州の選挙 ── ★続報です

先住民族ニュース(65)

前便の訂正と続報です。

>*****前略*****帝国石油の海外子会社インペックスの
>天然ガス開 発に絡んでポール・ヘンダースン主席相(労働党)が
>突然の解散に打って出たものです。

●インペックスは、選挙結果にかかわらず、事業計画の検討を進めるとの声明 を出していますが
http://www.abc.net.au/news/stories/2008/08/12/2332372.htm
企業判断としてダーウィン案がやや失速する可能性はあるでしょう。となる と、西キンバリー案が固まってしまうことになり、(西キンバリーを主要なフ ィールドにしている細川にとって)それはそれで難儀です。

>事前予想では現政権(労働党)の圧勝でインペックス開発が加速
>すると思われていたのですが、昨日、ふたを開けてみれば、労働
>党の大苦戦。なんと 9%以上のスイングで、労働党13、地方自由党11、
>無所属1という結果でした (選挙前議席は、労働19、地方4、無所属2)。
>http://www.abc.net.au/elections/nt/2008/
>
>アボリジニーの星、マリオン・スクリムガーはアラフラ選挙区の
>議席を守り ましたが、アボリジニー議員は5名から3名に減った
>模様(最終確認まだ)。

●労働党(ALP)のアボリジニー候補5名のうち4名当選、1名落選(現職は 6名いますが1名は引退のため出馬せず)。あと、注目すべきことに、アリス スプリングスの選挙区で、野党:地方自由党(CLP)からアダム・ジャイルズ という若いアボリジニーが当選しています。これで、NT議会全体としては、ア ボリジニーの議員は5名(与党4、野党1)となります。ちなみに女3・男2 です。

※与党と野党の両方にアボリジニーの議員が(同じ回の選挙で)選ばれたのは、意外なことに、オーストラリア政治史上、これが初めてだという論評記事が出ています。
http://www.nit.com.au/news/story.aspx?id=15764

(そんな筈はないのでは? ── と思いますが、手元で確認できる資料があり ません。CLPからは初のアボリジニー議員ですので、NTではたしかに史上初で しょう。西オーストラリア州議会では、両党にいたようにも思いますが、ふた しかな記憶でごめんなさい。)

●ALPでは今後、組閣がおこなわれますが、マリオン、バーブ(Malarndirri) らのアボリジニー女性議員の入閣の可能性が高いと思われます。
http://www.abc.net.au/news/stories/2008/08/13/2333589.htm


── 以下、8/18 追記 ──
今朝(08/8/18)、閣僚名簿が発表され、与党(ALP)の4名のアボリジニー議員が全員入閣しました。
・マリオン・スクリムガー Marion Scrymgour 次席相(副首相)・教育相・先住民族政策相・女性政策相・家族地域社会相・美術博物館相
・マランディリ・マカーシー Malandirri (Barbara) McCarthy 児童擁護相
・アリスン・アンダースン Alison Anderson 環境相・中央オーストラリア担当相
・カール・ハンプトン Karl Hampton 地方開発相

「入閣」といっても、NTは議員数が少ないので、与党議員13名のうち約半数(6〜7名)がフロントベンチャー(大臣格)となって30近い省庁を分担します。アリスンとカールは初入閣。


2008年8月11日

【Aust】 北部準州の選挙、ほか

先住民族ニュース(64)

オーストラリアの北部準州(NT)で昨日、準州議会(LA)の選挙がおこなわれました。
ご存じの方もあるかと思いますが、帝国石油の海外子会社インペックスの天然ガス開発に絡んでポール・ヘンダースン主席相(労働党)が突然の解散に打って出たものです。

事前予想では現政権(労働党)の圧勝でインペックス開発が加速すると思われていたのですが、昨日、ふたを開けてみれば、労働党の大苦戦。なんと9%以上のスイングで、労働党13、地方自由党11、無所属1という結果でした(選挙前議席は、労働19、地方4、無所属2)。
http://www.abc.net.au/elections/nt/2008/

アボリジニーの星、マリオン・スクリムガーはアラフラ選挙区の議席を守りましたが、アボリジニー議員は5名から3名に減った模様(最終確認まだ)。

アボリジニーの天敵?、デイブ・トルナー(昨年の連邦総選挙で落選した保守系の元下院議員)がアボリジニー現職(大臣)のマット・ボンスンを破って当選(+_+)
緑の党は得票率4.1%で、議席にとどきませんでした。


ついでに、別件ですが、
アーネムランド東海岸のブルーマッド湾先住権訴訟(海の権利)、先週、連邦最高裁が国側の控訴をしりぞけ、アボリジニーの勝訴確定です(^^)/ 

2008年5月26日

【Abs】 謝罪と和解の日10周年

先住民族ニュース(63)

今日はオーストラリアの National Sorry Day です。
(親子強制隔離政策の実態について公式調査し、一連の対応策を勧告したウィルソン報告書『Bringing Them Home (絆をとり戻す)』の発表日を記念)
今年は10周年!

アボリジニーたちの街頭デモの様子が、ABC放送の以下のサイトでご覧になれます。
http://www.abc.net.au/news/video/2008/05/26/2255550.htm
(リンクはたぶん3週間くらい有効)

ウィルソン報告書の意味については、『先住民族の10年News』142号、143号、144号所収の一連の記事をご覧下さい。
http://indy10.at.infoseek.co.jp


2008年4月23日

【Abs】 豪州ラッド首相の<先住民族への公式謝罪> 日本語テキストについて

先住民族ニュース(62)

 オーストラリア連邦、ラッド首相の<先住民族への公式謝罪>の日本語テキストについて、
諸方面よりお問い合わせをいただきました。昨日から次のように対応しておりますので、参考までにお知らせいたします。

(1)翻訳の底本とした英語トランスクリプト(細川作成)、日本語テキスト(松井健一・訳、細川弘明・監訳)、上記掲載誌の該当頁コピー(PDFファイル)を下記のURLで公開しています。
http://idisk.me.com/hosokawakm-Public

ダウンロードにあたっては、上記サイト内にいれてある「+最初にお読み下さい」のファイルもあわせてダウンロードのうえ、ご一読ねがいます。


(2)転載を希望される方は、先住民族の10年市民連絡会(担当:小林純子)
indy10-Lj@infoseek.jp まで、ご申請ください。転載や引用にあたっては、かならず出典
 『先住民族の10年News』第142号(2008年3月15日・発行)、pp.18-25
の明記をおねがいします。

内容について、お気づきのことがありましたら、どうぞご指摘ください。

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先住民族の10年市民連絡会へのご支援、どうかよろしくお願いします。
http://indy10.at.infoseek.co.jp

『先住民族の10年News』の目次一覧は↓こちら
http://indy10.at.infoseek.co.jp/back_number_history.htm


細川弘明 拝 <>