2011年7月20日

【Nuke】除染プロジェクトPressRels



放射能除染・回復プロジェクト 記者会見

2011719日 於:福島市・コラッセふくしま

 本日の記者会見において配布する資料とその趣旨は、以下の通りです。時間の制約があり、すべてを詳しくお話することはできませんが、お問い合わせやご指摘をぜひお寄せください。


■ 添付資料1 放射能除染・回復プロジェクト 声明文

 プロジェクトの発足の経緯、基本的な考え方、活動状況について述べました。本プロジェクトは、福島県民からの呼びかけを受けて、エントロピー学会(http://entropy.ac)有志と複数の大学の教員らにより始められ、住民と一体となって進められています。


■ 添付資料2 測定事例

 本プロジェクトがおこなってきた放射線ホットスポット調査、民家の除染実験の成果の一部を紹介しています。なお、本プロジェクトの福島市での活動を紹介した映像も、合わせてどうぞ御覧下さい。

http://bit.Ly/josen526

http://bit.Ly/josen527

http://bit.Ly/josen613


■ 添付資料3 放射能除染マニュアル(第1版)

 本プロジェクトが、福島市内での実験・実践をふまえ、住民のために作成したマニュアルの初版です。その大きな特色は、次の4点です。

放射能を拡散させないための配慮(具体的には、できる限り水を用いず、固めて剥ぎ取る方式を追求)していること

東京電力の引き取り責任と補償責任を重視していること

特殊な(あるいは高価な)機材や薬剤を用いず、市民が普通に入手できて使うことのできる道具・資材による除染方法を提案していること

「避難させないための除染」という考え方をとらず、除染と避難は「放射線被曝低減」のための総合的な対応の一環として連携して実践されるべきもの、との考え方に立つこと


 すでに、福島県災害対策本部も放射能除染のマニュアル「生活空間における放射線量低減化対策に係る手引き」を発表しましたが、この手引きには、安易に圧力水ポンプを使用して放射能を拡散させ二次的な汚染を誘発する危険、回収した落ち葉の焼却処理の奨励など、見過ごすことのできない問題があり、東京電力の責任と義務についても不問に付されてしまっています。

圧力洗浄の問題点については、上記マニュアルの付録としてまとめてありますので御覧ください。


【8月8日追記: 除染マニュアルの第2版はエントロピー学会のウェブサイトに掲載されています。校正確認ののち、当サイトにもアップします。】


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以下、「声明文」(上記 添付資料1)のテキストを貼り付けておきます。

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東京電力福島第一原発事故により、福島県を中心とした広い範囲に大量の放射能が降り注いだ。3月末の段階で福島市と川俣町の学校・保育所などでの放射線測定が保護者の手によっていち早く実行された。その結果をふまえた保護者・市民からの要請により、4月の時点で、福島県による学校運動場の調査データが発表されて、子供たちの放射能被曝の厳しい実態がわかってきた。子供たちの被曝は運動場だけでなく、通学路や児童公園や家庭生活圏でも生じている。福島の子供たちは、一刻も早く避難すべき状況にある。

一部の子供たちは家族とともに自主的に避難している。しかし、まだ多くの子供たちが福島で不安を感じながら暮らしており、一刻も早く放射能除染を行なうべきである。「避難」と「除染」という2つの方法は、互いに矛盾するものではない。子供たちの健康と生命を放射能の脅威から守るという最も重要で基本的な立場に立つならば、「避難」と「除染」は相互補完的なものである。ところが、国や福島県は、避難させないことを目的に“除染”を呼びかけているかのようにみえる。もしそうだとしたら、国や県の姿勢は、守るべき根本価値を見誤った本末転倒な態度である。

 

福島における子供たちのこのような現状を憂慮した私たちは、「子供たちの放射線被曝量を可能な限り減らす」ことを目的として「放射能除染・回復プロジェクト」を立ち上げ、活動を開始した。すでに、2011517日から19日には除染すべき民家の事前調査と通学路のホットスポット測定を行なった。610日から14日には、3軒の民家と通学路の一部の除染を実施した。そして、716日から19日には、企業や自治体の管理地におけるホットスポットの調査と、民家、果樹園のモデル除染を実施した。

 政府や自治体を頼りにして除染してくれることを待っていても被曝状態が続くだけである。子供たちの被曝を避けるためには、市民自らが除染を実施していく必要に迫られている。そこで私たちは市民が実施できる「放射能除染マニュアル(第1版)」を作成した。そこでは、福島県が実施しようとしている除染方法ついて、とくに「圧力洗浄機」を使用することの問題点を強く指摘した。

県の除染方法には、そのほかにも、落ち葉などの焼却処理を認めていること、汚染土などの保管方法があいまいであることなど重大な問題点がある。私たちは、福島の放射能除染作業における重要な原則の一つとして、除去された放射能汚染物質は東京電力に引き取らせ、最終的には福島第一原発へ戻すことがあると考える。さらに、子供たちの通学路や児童の生活圏における被曝量を減らすためには、家や学校だけでなく、商業施設の駐車場や自治体の管理地を含む公共の場所に数多く存在するホットスポットを除染しなければならないが、県が実施しようとしている除染計画には、それらが決定的に抜け落ちている。

 私たちは今後も、放射能除染マニュアルの改善、実証的モデル除染の実施などを提案し、一刻も早く福島が放射能汚染から回復する活動を継続していく決意である。

 

■ 《放射能除染・回復プロジェクト》 福島の住民の呼び掛けに応じてエントロピー学会有志と複数の大学教員らにより始められ、住民と一体となって進めているプロジェクトです。

 連絡先:中里見博(福島大学行政政策学類)h-naka@io.ocn.ne.jp 


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 プロジェクトには、これまでのところ、福島大学、京都精華大学、同志社大学、大阪大学、名古屋大学の教員が参加・協力しています。